Production Process製作までの話
年齢を重ねた今、あらためて思うのは――日々身にまとうものこそ、「本当に心地よいもの」でありたいということ。とくに肌に直接触れるニットは、チクチクせず、やわらかく、毎日でも着たくなるものが理想です。大変なことも多い毎日だけど、普段着る服くらいは、肩の力を抜いても“かっこよく”、楽に着られるものがいい。そんな想いから、私たちは「毎日触れたい肌触り」にとことんこだわり、糸の選定から何度もの試作を重ねてきました。
「心地よさ」と「きれい見え」の両立を叶えるために。編み地、シルエット、パターン――そのすべてに工夫を重ねました。前あきは、重ね着を楽しめるVネックに。ふちの始末には異なる編み方を採用し、シンプルでありながらも、さりげない洒落感を演出しています。後ろ姿にも気を配り、ヨーク切り替えを入れて編地を変えて、バックスタイルがすっきり見えるよう仕立てています。
“何も考えずに着ても、きれいに見える”シルエットを目指して。シルエットは、ただ羽織るだけでバランスが整うように工夫を重ねました。前身頃をやや短く、後ろを長めに仕立てることで、自然とスタイルアップが叶うデザインに。
さらに、ゆったりとした着心地でありながらも部屋着には見えないように、袖の太さや身幅のバランスを丁寧に調整。リラックスした時間にも、“大人のかっこよさ”を感じられる一着に仕上げました。
使用している糸は、ポリエステル・アクリル・ウールをバランスよく組み合わせた混紡糸。やわらかさと軽さ、そしてあたたかさを兼ね備えています。また、杢糸(もくいと)を採用し、色に奥行きとニュアンスを加えることで、落ち着きのある大人の雰囲気に仕上げました。編地には、片畔編みとケーブル編みを組み合わせ、シンプルな中にも表情があり、どこか洒落た印象を感じられるようデザインしています。
